髪と頭皮の基礎知識

髪と頭皮の構造を知っておきましょう

髪をはじめとする体毛は毛包という皮膚が変化した器官で作られ、周期的に再生します。一般的に毛は一定期間伸び続けた後、成長が止まって抜け落ち、しばらくして毛が再生して伸び始め、ヘアサイクルと呼ばれています。髪の場合、1日0.3～0.4mm、1ヵ月で1㎝ほど伸び、毎日50～100本くらい抜けます。ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」の3つに分かれています。ヘアサイクルが正常に機能していると、健やかな髪を保つことができるのです。

成長期（3～6年：髪全体85～90%）	髪が伸び続け成長する時期。毛髪は太く長く伸びていきます。
退行期（2～3週間：髪全体の1%）	長期がすぎて髪の成長がほぼストップします。正常な髪はここで抜け落ちます。
休止期（3～4ヶ月：髪全体の10%）	完全に成長がストップして髪が抜けやすくなります。髪が抜けると、また成長期の初期へと戻ります。

何らかの原因で成長期の期間が短くなると、ヘアサイクル全体が短くなり毛が短くて細くなっていき、やがて薄毛になります。髪をくしでとかしたときに抜ける正常な髪は毛根が膨らんでいますが、脱毛症の場合、毛根部が先細りしている例が多くみられます。

発毛の役割を果たす「毛根部」

毛髪は頭皮の表面に出ている「毛幹部」と、頭皮の下に隠れている「毛根部」に分かれ、「毛根部」が髪の成長に重要な役割を果たします。1つの毛包からは1本の毛が成長しますが、毛穴付近で束になって2～3本の毛が一つの皮膚表面の出口から生えてくることがほとんどです。

毛根部の構造

頭皮の下に隠れている「毛根部」の付け根部分には球状に膨らんだ「毛球部」があり、この毛球部には毛髪を作る「毛母細胞」と、毛母細胞の働きをコントロールする「毛乳頭細胞」があり、髪の成長にとても重要な役割を担います。毛母細胞は分裂を繰り返し、角質化しながら上へと押し上げられて髪の毛そのものになります。
この毛母細胞と毛乳頭細胞の働きを正常に整えるためには、頭皮環境を健やかに保つことが重要です。頭皮が乾燥して硬くなり、栄養が乏しい状態では正常な働きをすることができません。髪の健康を維持するには、毛髪の成長に影響を与える毛根部と頭皮の状態がカギを握っていると言えます。

ポイント！

髪と頭皮の構造や発毛の仕組みからわかるように、頭皮環境を整えることで健やかな髪の成長をサポ―トすることができます。

頭皮に潤いを与え柔らかい頭皮環境に整える
頭皮の奥に栄養を与え、毛母細胞の働きをスムーズにすること

が重要です。
これら頭皮環境がきちんと整わないと、健康な髪の毛は作られず、薄毛の悩みは解消されません。

ハリ・コシのある髪になるために

髪はわずか直径0.08mmほどで、内部は海苔巻きのような3層構造になっています。ハリ・コシ・ツヤのある丈夫で美しい髪は、実はこの3層構造がカギを握っています。3層それぞれを健やかに保つために、以下のことに注意しましょう。

毛小皮（キューティクル）	無色透明でウロコのように重なりながら毛髪全体を包んでいます。外部の刺激から髪の内部を守る役割を担っています。無理なブラッシングや過度なドライヤーなど摩擦や熱、乾燥などによりキューティクルは傷ついてしまいます。髪は水分を含んでいるときはかなりデリケートなので扱いに注意し、乾かすときはやさしくタオルドライし、ドライヤーをあてすぎないようにしましょう。
毛皮質（コルテックス）	繊維状のタンパク質で、水分を含み髪のハリ・弾力を作り出しています。髪の栄養分が不足していると、ハリのない髪になってしまいます。頭皮を清潔に保ち、栄養がすみずみまで行き届くようにヘッドマッサージなどで頭皮の血行をスムーズにしましょう。また、タンパク質を豊富に含む牛乳や大豆、魚介、牛肉や、ビタミンを含むレバー、納豆、卵も多く摂取するようにしましょう。
毛ずい質（メデュラ）	髪の中心にある芯のようなもので、海綿のように多孔質の構造をしています。すべての毛髪に存在するわけではなく、部分によってもさまざまなパターンがあります。メデュラの役割については研究が進められていますが、ツヤや透明感など髪の見え方コシを出す左右します。頭皮を清潔に保つとともに、髪にとって重要な栄養素であるタンパク質と良質な脂質をバランスよく摂るようにしましょう。